TeX にみる世代間の断絶

0x0a より.実は,実数集合の表記を忘れてぐぐった時に偶然行き着いたもの.非常に面白い.

このネタ元は高林さんの「UNIX にみる世代間の断絶」で,UNIX の場合では私は完璧に旧世代に属しているのだが,TeX の場合はというと,ちょうど旧から新へ移行の途中で固まってしまったような感じだ.TeX を使い始めたのは 96 年で,しばらく 2.09 を使っていたが,確か 99 年くらいに 2e に乗り換えた覚えがある.きっかけは単に,自宅で TeX を使いたくて購入したのが今は絶版となってしまった日本語 LaTeX2e インストールキットだったというだけの話だ.

今でこそ,デフォルトで \documentclass を使うようになったし,図は illustrator で描くし,amsmath は愛用している.しかし,jsclasses は全く使ってないし,dvips で変換するし,画像は EPS しか認めないし,フォントも無頓着だ.根が保守派なので,きっかけがないと変わらない.

どうも旧世代はそろそろマイノリティになってきているようで,うちのサイトの TeXEmacs の話などは「少し古いですが」という断わり付で紹介されることが多い.痛感したのは,ごく最近,あるスタイルファイルの件でメールでやり取りしたときだ.

メールの相手は全く面識はなかったのだが,私より 5 歳前後若く,TeX への造詣も非常に深い.そして完璧な新世代だ.そもそもやり取りのきっかけとなった現象が,うちではどうも再現しないと思ったら,dvips と dvipdfm の違いだった.旧世代的な私のスタイルファイルに対し,彼は jsclasses をベースとした新しいスタイルファイルを独自に作成したのだが,それだけ jsclasses がメジャーになっていることの証だろう.さらにはフォントに関して,OTF/UTF パッケージを使うことを提案してきた時も,こっちは何も知らなかったので慌てて勉強したりした.やばい,そろそろ追い付けなくなっていている.

数年前,IT 業界の中堅幹部クラスの方から「未だに TeX を使っているのか!」と驚かれたこともあったが,そんな枯れたように見える TeX の世界の中でも確実に新しい技術が生まれ続けている.なんにせよ generation gap ができてしまうのはお互いにとって利益でない.旧世代は新技術にキャッチアップする努力をし,新世代はレガシーサポートをきっちり行う姿勢が必要かも知れない.

というわけでもないのだが,実数集合は \mathbb を使うことにした.