ガチャピンは本当に宇宙へ行っていた

宇宙開発をめぐる噂の真相シリーズ第 6 弾.今回は「ガチャピンは本当に宇宙へ行っていた」です.



1998 年 8 月,ポンキッキガチャピンがロシアのロケットに乗って宇宙へ行き,宇宙ステーションミールに滞在するというとんでもない企画「ガチャピン宇宙へ行く」があった.

しかし,なぜか宇宙からの映像がオンエアされたという話がほとんどなく,また DVD にも収録されていない.そのせいか「宇宙空間でブキミに変形してオンエアできなかった」「打ち上げの G でペチャンコになって圧死」「余計なものが映っていた」「お腹を壊して黄色くなり(謎)放映中止」「そもそも宇宙へは行っていない」「宇宙空間に捨てられた」などなどの噂が飛び交っている.そのなかで信憑性がありそうなのは「宇宙へは行ったけど回線の不調で十分な映像が確保できなかった」「実際にニュースでわずかにオンエアされた」というものだけど,それも伝聞だったので確かめようがなかった.しかし,このたびかなり信憑性のある記事を見つけることができた.数年前にあった「王立科学博物館」という食玩に付属していたブックレットを書籍化した「図録『王立科学博物館』」というマニアックな本のなかの 1 ページだ.



毎回,モリナガ・ヨウさんというイラストレータが蘊蓄の詰まったイラストエッセイを描かれてるんだけど,そこにまさに「ガチャピンは宇宙に行ったのか」という回があった (ちなみにミールの回).再録なので,つまり数年前の食玩のブックレットに既に書かれていたということになる.当時自分もこの食玩は集めていたんだけど,ミールを引き当ててなかったので知らなかったのだ.

ちゃんとお台場のフジテレビまで取材に行き,ゼネラルプロデューサーの小畑芳和氏から話を聞いたり,当時の VTR を見せてもらったりして,VTR の内容をそのままスケッチに起こしているので,信憑性としてはかなり高いといえる.



結論からいうと,やはり「ガチャピンは宇宙へ行っていた」.8/13 にバイコヌールよりソユーズ TM-28 で打上げ,8/15 にミールとドッキングし,8/20 に地球に帰還している.8/30 に特番のはずだったが,

回線が不調で,特番は中止になる.宇宙でのガチャピンの映像は,全部で 1 分もなく,普段の番組内で使われた.撮影はミール船内の他のクルーが行ったからかな…
とのこと.



ほか,ノイズだらけの地球の絵のスケッチとガチャピンのセリフ.

「青いよ 丸いよ」ものすごく画面が悪い…
ロシアのブルーの船内服を着たガチャピン.頭を下にして船内に浮かぶスケッチ.こんなに細いガチャピン初めて見たwwww

ミール船内のガチャピン 大減量したみたい.
通路ごしに頭だけ見えているの図のスケッチ.

目がおよいでいる.通路を通り抜けるのに激しい苦労が予想される…さすがのガチャピンにも,宇宙は苛酷だったようである. (VTR からスケッチ)
ちなみに,帰還後はお台場で凱旋会見が行われ,日刊スポーツでも取り上げられたそうだ (会見で「体がふわふわ浮いたよ」と語るガチャピンのスケッチあり).

もっとも「『私物の一部』をちゃんと持って帰ってきたのか」については謎のままであるが… (2007-08-26 修正.私物の一部の正体については各自邪推して下さい(笑).モリナガさんのコメントも参照).



そもそもこの話自体はソ連崩壊やらミール存亡の危機やらでゴタゴタしている時に企画され「ドサクサで企画が通っちゃったらしい」とのこと.まあ,TBS 宇宙プロジェクトも,ソ連崩壊前夜のゴタゴタに乗じてうまく通したという噂だけどね.



まあともかく文章で伝えるには限界がある.モリナガさんのスケッチの情報量はやはりすごくて,他にもガチャピンの訓練風景など楽しいエピソードも満載なので,気になる方はぜひ書籍のほうをご確認ください.



追記: MGS の記事を第 5 弾に格上げしてこっちは第 6 弾として再リリース.何やってんだか.



追記 2 (2007-08-26): はてなダイアリーのほうにモリナガさん (自信はないがモリナガ・ヨウさんご本人かも知れない) からツッコミ頂きました.本エントリ初稿はガチャピンにもモリナガ・ヨウさんにも失礼な記述がありましたので訂正しました.ガチャピンごめんな.



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